2012/07/31

雪のひとひらの重さ

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冬の細い樹木の枝に、二羽の鳥がとまっている。
そしてこんな言葉が添えられていた。

「雪のひとひらの重さはどれくらいかな」シジュウカラが野バトに聞いた。
「重さなんてないよ」ハトが答えた。
「じゃあ、おもしろい話をしてあげる」シジュウカラが言った。
「モミの木の、幹に近い枝にとまっていると、雪が降り始めた。
激しくはなく、吹雪の中にいるような感じでもない。
そんなのじゃなくて、傷つく事も荒々しさもない、夢のなかにいるような感じの降り方だった。
ほかにすることもなくて、ぼくは小枝や葉に舞い降りる雪をひとひらずつ数えた。
やがて、降り積もった雪の数は正確に三四七万一九五二になった。
そして三四七万一九五三番目の雪が枝の上に落ちたとき、きみは重さなんてないと言うけどー 枝が折れた」
そう言うと、シジュウカラはどこへともなく飛んでいった。
ノアの時代以来その問題に関してとても詳しいハトは、今の話についてしばらく考えていたが、やがて独りつぶやいた。
「もしかしたら、あともう一人だけ誰かが声をあげれば、世界に平和が訪れるかもしれない」

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ P298,299


どんな大きな社会運動も、馬鹿げた事を始めたリーダーと一人目のフォロワーから始まります。
問題が大きすぎて、ひとりでできる事など何もないと思ってしまいがちですが、この話を思い出せば影響は小さくても何かやる勇気が出るかもしれません。

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