2012/02/24

【書評】シェア

,
「私達は音楽を聴きたいのであって、CDが欲しいわけじゃない。」
という一文が、シェアの本質を表していると思う。

クリス・アンダーソンのフリーのように、ビジネスビジネスしてるのかと思いきや、
太平洋の真ん中に浮かぶ「ゴミ島」のことなどにも言及するなど、
大量消費社会が環境に与える影響についても書かれた社会派の本。
あまりの熱心さに、早く本題にもどれよと言いたくなるほど。

IT技術の発展に伴うマッチングコストの低下によるシェアサービスの成功例
(zip car-カーシェアリング・e-bay-オークションサイト」はもちろん面白かった。
だがそれ以上に、「所有するから利用するへの変化」が副次的にもたらした環境への影響の話が興味深かった。

ex1.
iTunesで音楽をダウンロードすることは、CDを購入する場合に比べて環境負荷を40%~80%下げるが、
Steve Jobs は環境を守るためにiTunes Storeを始めたわけではない

ex2.
Netflix(DVDのネットレンタルサービス)で映画を借りることは、毎年320万リットルのガソリン消費を減らし220万tのCO2を排出を削減するが、
環境にいいからと言ってNetflixを選択したユーザーはいない

大量消費を是とする習慣はここ何十年かのもので、
しかも企業の販売戦略から生まれたものでしかありませんよ。

成人式の着物はレンタルで済ませるのに、
一日23時間は車庫に眠っている車を所有することの合理性ってどこにあるの?
というような、考えるフックとなる問いかけを与えてくれる本です。

我々が環境保護を当たり前に思う我々は、上の世代の反エコな生活様式を糾弾していたりしますが、
そう遠くない未来に、大量消費社会を作り上げたダメな世代の烙印を押されてしまうのかもしれません。

シェアの第一歩として、僕のNikon D7000を10,000/24hくらいで借りたい人はいませんか



0 コメント to “【書評】シェア”

コメントを投稿

ZenBack